日々雜雜談談

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【進撃の巨人の考察】鎧の巨人を受け継ぐのはファルコ【対比構造で見えてくる物語の行く末】

エレンたちが住む国の高い壁の外は人を食う巨人が闊歩する恐ろしい世界。
しかしついに調査兵団は壁の外の巨人たちを駆逐する。

巨人はマーレ国から運ばれてきたエルディア人の変わり果てた姿だということが分かった。

パラディ島の巨人を駆逐したエレンではあったが彼の目線はマーレ国に向いていたのだった。

ここまでは22巻までのあらすじ。
23巻からはガラッと場面が変わりマーレ国側の視点で物語が進んでいきます。

巨人の力を自由に操るマーレ国。
周りの国々と戦争状態、巨人の力があれば戦争には負けないような気がします。
しかしエレンたちが育ったパラディ島とは違い世界の文明レベルは凄まじい進化を遂げています。

100 mm の口径から放たれる徹甲弾は巨人を一撃で仕留められる。
例えばの鎧の巨人であろうとです。
今や周りは巨人の力に頼りすぎた軍事国家としては周りの国々に遅れを取っている状態。

ここで注目したいのが新たに登場した戦士候補生と呼ばれる九つの巨人の力の継承候補たち。
巨人の力を手に入れた人間は13年で寿命を迎えてしまうためマーレ国では常にエルディア人から次の巨人の候補生を育てています。
戦場に似つかわしくないほど明るく機転が利く女戦士ガビを始め、マーレ側のを読者の視点キャラとして物語を牽引するファルコ。
年端もいかない少年兵達を見るとエレンたちがまだ訓練兵だった頃のことを思い出します

これはおそらく意図的な対比構造だとおもわれますがパラディ島もマーレ国も大局的に見て同じような状況にあると言えます。
パラディ島は巨人という障害に悩まされマーレ国は周辺諸国の近代兵器に悩まされています

また調査兵団と戦士候補生たちそして優秀な幹部として調査兵団団長であったエルヴィン=スミスと獣の巨人ジーク。調査兵団の迷えるエースであるリヴァイ兵長と戦士団副長、鎧の巨人の迷えるライナーが据えられています。
こうして主人公サイドとの対比を設けることにより突然始まったように感じる物語も読者にはとてもすんなり入ってくるものとなっています。

ここでもう少し対比構造について掘り下げていきます。
魅力的だったマーレの戦士候補生の何人かは、かつての調査兵団のように残酷な死を遂げました。
エルヴィンスミスが壁の中の人類の目的とは別に世界の秘密を解き明かしたいという夢があったように獣の巨人ジークにも世界中から巨人を滅ぼすと言う秘密の夢がありました。

パラディ島のエレン、アルミン、ミカサとマーレ国のライナー、ベルトルト、アニ。どちらも3人です。

壁に囲まれたエレンたちの国。柵に囲まれた収容所に暮らすライナーたちの家族。

壁中人類の、ルイス家。マーレ国のダイバー家。どちらも表には出ず国を支配していました。


マーレ国編の主人公であるファルコは対比構造から考えると本編主人公であるエレンとの対比のキャラクターです。
正確に言うと子供の頃の純粋だったエレンです。
エレンは長い時間をかけて22巻かけて、巨人の力を手に入れて、なんやかんやと黒エレンとなって行きましたがファルコはそれとは比にならないスピードで様々な経験を積んでいきます。
ファルコの大きなターニングポイントはマーレ国の外、悪魔の末裔と教えられてきたパラディ島の壁中人類と接触しているということです。

エレンがマーレ国に来るまでは本当に長い時間がかかりましたが、それに比べるとファルコはギュッと短い時間で経験値をあげてきました。

そして次にファルコはするべき経験は鎧の巨人を継承することだと思います。
今はまだエレンの対比のキャラクターとして立場が並びきれてないファルコですが鎧の巨人を継承さえすれば完全にエレンの対のキャラクターつまりライバルキャラとなるのです。

現時点の単行本ではエレンとライナーがライバル同士のように描かれていますがこの関係性は鎧の巨人を手に入れるであろうファルコに受け継がれていくと思います。

海の向こうを目指したエレン。
空高く飛ぶ鳥に思いを馳せ遠くへ行けと言ったファルコはどこへたどり着くのでしょうか。